メニュー

コラム

関東大震災から100年、防災家族会議で備えを!

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2023年08月07日(月)
このエントリーをはてなブックマークに追加

concierge 42a

 

 

関東大震災から100年という節目の年

今年は、1923年9月1日に発生した関東大震災から、100年の節目の年です。この歴史的な災害は、関東地方に甚大な被害をもたらしました。死者・行方不明者は約10万5千人、被災者は約200万人にも上りました。また、火災や崩壊した建物によって多くの文化財や歴史的遺産も失われました。近年の震災と比較しても災害規模は大きく、社会や経済にも深刻な打撃を与えました。

 

concierge 42d

※出所:「関東大震災100年」特設ページ(内閣府防災情報のページ)

 

このような悲惨な出来事を忘れないためにも、関東大震災から100年という節目の年には、改めて防災について考える機会にしたいと思います。

 

最近、地震予測や風水害などの自然災害の話題を目にする機会が増えてきましたが、「災害は忘れた頃にやってくる」から「災害はいつでもやってくる」に私たちの意識は変わってきているでしょうか。

 

家庭の防災対策の現状を見てみましょう。「2023年度家庭での防災への取り組みや非常食の備えについての実態調査」(ミドリ安全株式会社調査)の結果概要を紹介します。

 

  • 防災食(非常食)の備蓄率は59.9%、「全く備えていない」は35.7%
  • 非常食を備えられていない理由、最多は「お金がかかる」「保管スペースがない」22.7%
  • ハザードマップで居住エリアの災害リスクを確認している 43.8%
  • 緊急時にすぐ持ち出せる「防災バッグ」半数以上が備えなし

 

非常食の備蓄率は、59.9%で3年連続増加とのことです。地方別備蓄率は、関東地方が74.0%でトップ、最も低いのは東北地方の45.0%とのことです。

 

concierge 42c

※出所:「2023年度 家庭の防災対策実態調査」(ミドリ安全.com

ローリングストックとフェーズフリーで、防災対策コストを軽減

備蓄できない理由として、「お金がかかる」「保管場所がない」22.7%です。食べた分だけ買い足す備蓄方法「ローリングストック」(tenki.jp)の実施率22.0%なので、まだまだ備蓄率を上げる余地はありそうです。

 

また、普段から使っているモノを非常時にも役立てる「フェーズフリー」(一般社団法人フェーズフリー協会)という考え方も注目されています。「フェーズフリー」とは、フェーズフリーまたはフェーズフリーとは、平常時と災害時という社会のフェーズを取り払い、普段利用している商品やサービスが災害時に適切に使えるようにする価値を表した言葉です。

 

家庭内にあるモノを見渡して、災害時にも使えそうなものをリストアップしておくと良いでしょう。

春夏秋冬、災害はいつでも起こる

非常食の備蓄だけではなく、災害は季節を選ばずに発生するので冬場の防寒対策や真夏の猛暑対策も重要です。真冬の避難を想定して防寒シートの備え、猛暑対策としては、携帯用の扇風機や噴霧器なども有用です。また、断水対策として水のストックも大切ですが簡易トイレの用意も忘れないようにしましょう(備蓄率26.6%)。

 

なお、防災対策としては、非常食だけではなく、水や衣類、医薬品など他の防災用品も必要だと考える人も多いかもしれません。そのため、非常食に限定した備蓄率だけでは、防災対策の全体像を反映していない可能性もあるので注意が必要です。

 

 

防災対策家族会議で備蓄、減災対策、避難ルートの再確認を

concierge 42b

 

さらに、命を守るための減災対策も重要です。家具転倒防止器具を取り付けるだけでなく、高い所に重いものを置かない、日頃から整理整頓をしておくだけでも効果はあります。ハザードマップは、十分浸透していると思っていましたが確認した人は意外に少なく5割未満、さらに避難ルートや避難場所の確認まで行っている人は15.1%にとどまるとのこと。家庭だけではなく、仕事場からの帰宅ルートなどもチェックしておきたいものです。ハザードマップポータルサイトで住所を入力することでその地点の災害リスクを簡単に調べることができます。

 

このように家庭内の災害への備えはまだまだ改善の余地がありそうです。今一度、災害への備えとしてご家族で「防災家族会議」を開いてみてはいかがでしょうか。「防災対策家族会議」は、災害に備えて家族で話し合い、必要な準備や行動を決めておくことです。災害はいつどこで起こるかわかりませんし、家族が一緒にいるとは限りません。だからこそ、日頃から家族で防災について考えておくことが大切です。

役割分担

災害発生時や避難時に、家族の中で誰が何をするかを決めておきましょう。例えば、火の始末やガスの元栓を閉める、非常用持ち出しバッグやペットを連れ出す、近所の人に声をかけるなどです。また、家族が離れ離れになった場合には、どこでどうやって再会するかも決めておきましょう。

家の中の危険個所の確認

地震などの揺れで倒れたり落ちたりする可能性のある家具や物をチェックしましょう。特に、寝室やリビングなど家族が長時間過ごす部屋には注意が必要です。倒れやすい家具は壁に固定したり、背の低いものに替えたりしましょう。食器棚や本棚などの開き戸は開かないようにストッパーを付けたり、ガラス部分には飛散防止フィルムを貼ったりしましょう。また、安全な場所や避難経路を確認しておきましょう。

防災グッズの確認

飲料水や非常食などの備蓄品や、懐中電灯やラジオなどの非常用持ち出しバッグの中身を確認しましょう。消費期限や電池の残量などもチェックしておきましょう。また、必要なものが足りているかどうかも見直しておきましょう。備蓄品や非常用持ち出しバッグは、すぐに取り出せる場所に置いておきましょう。

避難場所と避難経路の確認

自宅から近くの避難場所や避難経路を確認しておきましょう。市町村が発行している防災マップやハザードマップを参考にしてください。また、通勤通学途中や出張先などでも避難場所や避難経路を把握しておきましょう。災害の種類によって安全な避難場所が異なることもありますので、それぞれのシチュエーションでどこに避難すべきかを考えておきましょう。

連絡方法の確認

災害発生時に家族の安否確認や連絡方法を決めておきましょう。災害時には電話回線が混雑したり、通信ができなくなったりする可能性があります。その場合には、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板などのサービスを利用しましょう。また、離れた場所に住む家族や親戚、知人の家を連絡先に決めておくという方法もあります。これらの方法は、事前に登録や設定が必要な場合もありますので、確認しておきましょう。 

 

以上のように、防災対策家族会議では、災害に備えて家族で協力し合えるようにすることが目的です。ただし、話し合いの際には、以下のような注意点もあります。

定期的に行う

災害はいつ起こるかわからないので、定期的に防災対策家族会議を行いましょう。季節や環境の変化に合わせて、備蓄品や非常用持ち出しバッグの中身を見直したり、避難場所や避難経路を確認したりしましょう。また、家族構成や住所が変わった場合も、話し合いを行いましょう。

楽しく行う

防災対策家族会議は、重苦しいものではありません。楽しく行うことで、家族のコミュニケーションや絆を深めることができます。例えば、防災クイズやシミュレーションゲームを取り入れたり、防災グッズを自分で作ったりするという方法もあります。また、近所の人や友人などと一緒に行うことで、共助の意識も高めることができます。

子どもの意見も聞く

 防災対策家族会議では、子どもの意見も大切です。子どもは大人と違って身長や体力が違いますし、感じ方や考え方も違います。子どもが不安に思っていることや知りたいことを聞いてあげましょう。また、子どもにも役割を与えてあげましょう。例えば、非常用持ち出しバッグの中身をチェックする係やペットを世話する係などです。子どもにも責任感や自信を持たせることができます。

 

 

まとめ

関東大震災から100年、防災家族会議で備えを!という記事では、家庭の防災対策の現状や改善点、防災対策家族会議の方法や注意点を紹介しました。災害はいつでも起こりうるものですが、家族で話し合ってお互いに助け合うことで、命を守ることができます。

 

防災対策は、お金や場所に頼らずに、日頃からできることがたくさんあります。ローリングストックやフェーズフリーといった考え方を取り入れて、普段の生活に防災を溶け込ませましょう。また、季節や環境の変化にも対応できるように、定期的に防災対策家族会議を行いましょう。楽しく行えば、家族のコミュニケーションや絆も深まります。

 

FPオフィス Life & Financial Clinic(LFC)では、ご本人とご家族が生涯を通して、安心して暮らせるための、「生活リスクマネジメント」という考え方を第一に置いています。皆さまの生活リスク状況などしっかり把握しながら、その人らしい幸せな人生の実現のサポートをさせていただきます。

LFCの生活リスクマネジメント相談

 

【関連記事】

100年に一度の災害慣れに注意!?リスクへの備えの再チェックを!

フェーズフリー「努力しないコロナ対策」で苦難を乗り切る!

FCP(ファミリー・コンティニュイティ・プラン)=家族継続計画という考え方

 

※本記事は、「暮らしと資産のコンシェルジュ通信・2023年真夏号」の記事を加筆修正ものです。

 

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

夫婦FPが親身になってサポートいたします。お気軽にお申込・お問合せください。

Copyright©FPオフィス Life & Financial ClinicAll Rights Reserved. login