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コラム

FCP(ファミリー・コンティニュイティ・プラン)=家族継続計画という考え方

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2019年11月08日(金)
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災害のイメージ

 

各地に甚大な被害をもたらした台風19号から約1ヶ月が経とうとしています。家庭で取り組むべき災害対策など、さまざまな報道がされています。ビジネスの現場では、企業が災害から早期に回復し、事業を継続できるようにBCP(Business Continuity Plan)を作成することが浸透されつつあります。私たち家庭においても、BCPの代わりとなるFCP(Family Continuity Plan)を作る必要があるのではないでしょうか?今回は、家庭でつくるFCPについて解説しました。

 

※本記事は、2013年3月13日に日経BP「FP快刀乱麻」(現在、サイトは閉鎖)に投稿したものに、一部修正を加え、再掲載したものです。

震災を教訓に、ビジネスの現場ではBCP策定が普及

東日本大震災において、多くの企業が、貴重な人材を失ったり、設備を失ったりすることで、事業を続けることが困難な状態に陥り、中には、廃業を余儀なくされて企業もありました。また、震災による被害が少なかった企業においても、材料や部品の供給が止まり、通常の生産活動への復旧が遅れ、その結果、顧客が離れてしまい、事業縮小による従業員を解雇するという事態に陥った企業もあったそうです。


そのような教訓を生かして、ビジネスの現場では、「BCP(Business Continuity Plan)=事業継続計画」を策定することが浸透してきています。BCPは、大きな災害や予期せぬ事故などが起きた場合に、企業が事業を続けたり、早く再開させたりするために事前に作っておくべき計画のことをいいます。

家庭に置き換えると、「FCP(Family Continuity Plan)=家族継続計画」

このBCPを私たちの家庭に置き換えて考えてみましょう。災害や事故などの緊急事態が起こったときの家庭での対応方法を予め計画として、「FCP(Family Continuity Plan)=家族継続計画」と言うべきでしょうか。FCPと聞くと、「なんだか、大袈裟だな」と感じられるかもしれません。BCPを企業で取り入れる場合も、BCPを作っても、想定した通りの災害や事故は起こらないから、あまり意味はないと考える経営者の方も多いです。しかし、いざ緊急事態が起こったときに、何らかの準備をしている場合と、そうでない場合では、対処方法が異なりますし、心の余裕度も違います。


家庭内においても、家族が家で倒れて、救急車を呼ばなくてはならない事態に陥った時に、自宅の住所や電話番号を咄嗟に思い出せなくなってしまうという経験をした人もいるのではないでしょうか。緊急事態が起こると、通常の行動を取れなくなってしまうものです。そんな時に、FCPを事前に作っておくと安心です。

ヒト・モノ・カネ・情報の視点で、緊急事態に備える

BCPを策定する際に、企業の経営資源である、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」の4つの視点で、事前に準備しておくべきこと、緊急事態が発生した場合の対処方法などをリストアップしていきます。同様に家庭においても、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」の各分野で整理みると良いでしょう。

ヒト:家族の安全や健康に関する視点

・緊急事態が起こった時の家族の安否の確認方法や避難場所の確保など
・家庭内での緊急避難訓練など
・災害時には、救急車の利用が難しい状況が予想されるので、応急処置や、肺蘇生法などの訓練

モノ:住宅や持ち物・物資に関する視点

・ハザードマップなどで、地震・水害などの危険性の事前確認
・地震や災害に備えた建物、家電・家具の固定状況など
・災害が発生した場合の当面の食料・物・燃料などの生活物資の備蓄とリスト化

カネ:お金・財産に関する視点

・緊急事態に備えた手元現金の確保

・すぐに引き出せるように複数の金融機関の預金の確保
・金融資産、財産の目録
・損害が発生した場合の保険 

情報:文字通り、情報の視点

 ・パソコン内のデータ

・さまざまなIDやパスワード情報
・写真などの思い出

 

上記は、4つの視点ですぐに思いつくものの一部を挙げてみました。特に最近は、家庭内で取り扱う情報量が増えました。生活とパソコンは切り離せないものになっていますので、情報という視点も大切です。また、情報の項目で写真を挙げました。これは、被災地を訪問した際に、多くの方が、心のより所として、写真を大切にお持ちになっていたからです。


会社でBCPを策定している場合は、それらを参考にしながら、自分の家族に置き換えてみて、自然災害や大きな事故に見舞われた場合に、どのようなことを事前に準備しておいたら良いかを考えてみましょう。平時の時こそ、冷静になって考えることができるのです。

被災地への思いと防災意識は、いつまでも

家庭内の防災意識も、ここ最近、薄れているように感じます。震災が起こったその年には、防災グッズや非常食が数多く売れました。その後、2年近くが経過して、非常食の賞味期限が切れたけれども、そのままにしているという話も聞いたりしました。BCPと同様に、FCPでも、一度、計画を立てただけではなく、定期的な見直しが大切です。非常食が切れると同時に、買い替えと計画を見直すことをお勧めします。

 

今月の初め(2013年3月初旬)に仕事の関係で、被災地の仮設商店街をいくつか訪問する機会がありました。まだ寒い時期で、季節的な要因もあるのでしょうが、1年前に比べ、復興支援のボランティアや観光客の数がかなり減っているという話を聞きました。外からの支援に頼らずに自力で頑張るという強い思いと同時に、忘れ去られてしまうことに対する不安や寂しさのような気持ちを漏らす方が多くいらっしゃいました。震災の記憶は、時の経過によって薄れるものですが、震災による被害は、現在進行形です。また、自身にいつ振りかかるともしれないものです。被災地への思いと、防災意識は、いつまでも持ち続けたいものです。

 

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(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

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