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コラム

災害から家族を守るFCP(家族継続計画)の実践ガイド

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2024年09月01日(日)
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2024年に日本で発生した災害を受けて、私たちの家庭でも災害に備えることが急務です。この記事では、FCP(Family Continuity Plan)の導入を提案し、家族の安全を確保するために必要な具体的な対策を紹介します。災害時に迅速かつ適切に対応するための計画を立て、家族間でのコミュニケーションを強化しましょう。今こそ行動を起こし、愛する家族を守る準備を始めましょう。

 

はじめに:2024年の災害による影響

2024年、日本は複数の大規模な自然災害に見舞われました。1月1日に発生した能登半島地震は、マグニチュード7.6の強烈な揺れをもたらし、石川県を中心に甚大な被害を引き起こしました。津波警報も発令され、約341人(※2024.8.21時点)の方が亡くなり、5万人以上(2024.1.2時点51,605人)の方が避難を余儀なくされました。さらに、8月末には台風10号「サンサン」が九州地方を直撃し、60センチ以上の降雨量を記録。洪水や土砂災害により広範囲で住宅やインフラが破壊され、多くの人々が避難を余儀なくされました。

 

これらの災害は、日本の社会と経済に深刻な影響を与えました。特に能登半島地震では、地元経済が壊滅的な打撃を受け、復興には長期間を要する見込みです。台風10号もまた、農作物の被害や交通インフラの寸断により、地域経済に多大な損失をもたらしました。こうした災害の頻発は、日本の防災体制の強化と、家庭や個人レベルでの備えの重要性を再認識させるものとなっています。

 

災害に対する備えの重要性

近年、日本では地震や台風といった自然災害が頻発しており、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしています。こうした災害に備えるため、企業ではBCP(事業継続計画)が策定されています。BCPは、災害発生時に業務を中断させず、迅速に復旧するための計画であり、企業の存続に不可欠です。

 

同様に、家庭でも災害に備えることが重要です。突然の災害により、家族が分散し、日常生活が一変する可能性があります。そのため、家庭レベルでも事前に準備を整え、緊急時に家族全員が迅速かつ安全に対応できるような計画を立てる必要があります。これにより、家族の安全を守り、生活の早期復旧を図ることが可能になります。

 

 

FCP(Family Continuity Plan、家族継続計画)とは

FCP(Family Continuity Plan、家族継続計画)は、家族が災害や緊急事態に直面した際に、生活を継続するための計画です。企業のBCP(事業継続計画)が事業の中断を最小限に抑えることを目的としているのに対し、FCPは家族の安全と生活の安定を確保することを目的としています。

 

BCPとFCPの共通点は、どちらもリスクを評価し、最悪の事態に備えるという点です。両者ともに、計画を立てることで危機発生時に迅速かつ適切に対応することを目指します。しかし、BCPが企業運営の継続を目的としているのに対し、FCPは家族の生活と安全を守ることに特化しています。

 

具体的なFCPの対策例としては、以下のようなものがあります:

  • リスク評価:
    家庭の所在地や家族構成に応じて、地震や台風、火災などのリスクを評価し、それに対する備えを計画します。
  • 避難経路と避難場所の確認:
    家族全員が安全に避難できるよう、避難経路と避難場所を事前に確認します。
  • 非常用持ち出し袋の準備:
    必要最低限の食料、水、医薬品、重要書類をまとめた非常用持ち出し袋を用意しておきます。
  • 緊急時の連絡手段の確保:
    家族間で緊急時の連絡手段を確認し、連絡が取れなくなった場合の集合場所や方法を決めておきます。

 

FCPを策定することで、災害発生時にも家族が迅速に行動でき、安心して日常生活を取り戻すことが可能になります。家庭でも備えを万全にすることが、最も大切な家族の安全を守る第一歩です。

 

 

FCPを実行するためのステップ

FCP(Family Continuity Plan)を効果的に実行するためには、以下のステップに従って計画を立てます。

1.リスク評価の方法

まず、家庭が直面する可能性のある災害リスクを評価します。これは、居住地域の地理的特性や過去の災害履歴を参考にして行います。例えば、地震が頻発する地域であれば、家具の固定や耐震補強が必要です。また、洪水や台風のリスクが高い地域では、浸水対策や家屋の耐風性を確認することが重要です。さらに、家族の状況(高齢者や乳幼児がいるかなど)も考慮し、特別な配慮が必要なリスクを特定します。

2.重要事項の特定

次に、災害時に優先して対応すべき重要事項を特定します。これには、避難場所の確認や、家族間での緊急連絡先の設定が含まれます。避難場所は、自宅からの距離や安全性を考慮して決定し、複数の選択肢を用意しておくと良いでしょう。また、緊急連絡先として、家族以外の信頼できる親戚や友人を設定し、必要に応じて連絡を取れるよう準備します。

3.緊急時の対応計画と家族での訓練

災害発生時にスムーズに行動できるよう、具体的な対応計画を作成します。この計画には、避難経路、持ち出し品のリスト、避難先での集合方法などを明記します。さらに、この計画を家族全員で共有し、実際に避難訓練を行うことが不可欠です。訓練を通じて、計画の実効性を確認し、必要に応じて改善を加えることで、緊急時に家族が混乱せずに行動できるようになります。

 

FCPは、一度作成しただけで終わるものではなく、定期的に見直し、家族構成や環境の変化に応じて更新していくことが重要です。これにより、いつどのような災害が発生しても、家族全員が安全で迅速な対応ができる体制を整えることができます。

 

 

FCPを通じた家庭の安心確保

FCPの実施によって、実際に多くの家庭が災害時に迅速かつ適切に対応し、家族の安全を確保することができました。例えば、ある家庭では、事前に避難経路を確認し、定期的に避難訓練を行っていたことで、地震発生時にも落ち着いて行動し、全員が無事に避難することができました。

 

また、FCPは家族間のコミュニケーションを強化するための重要な手段でもあります。計画を共有し、話し合うことで、家族全員が緊急時にど のように行動すべきかを理解し合うことができます。

 

さらに、FCPは一度作成して終わりではなく、継続的な見直しと改善が必要です。家族構成や生活環境の変化に応じて計画を更新することで、常に最適な備えを維持し、家族全員の安心を確保することが可能になります。

 

 

まとめ:FCPで家族を守る

2024年の災害を振り返ると、家庭でも災害に備えることの重要性が明確です。FCP(Family Continuity Plan)は、家族の安全を守り、災害時に冷静かつ迅速に対応するための不可欠な計画です。この記事で紹介したステップに従って、まずは家族で話し合い、リスク評価や避難経路の確認など、具体的な行動を始めましょう。計画を立て、定期的に見直すことで、家族全員が安心して暮らせる環境を築くことができます。

 

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(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

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