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コラム

金利上昇時代の家計戦略:ファイナンシャルプランナーが指南する賢い備え

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2024年03月21日(木)
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金利の動向は、私たちの生活に直接的な影響を与える重要な要素です。日本銀行がマイナス金利政策を解除し、新たな金融政策の時代が始まった今、家計管理の見直しは避けて通れない課題となっています。この記事では、最近の金利政策の動向とその家計への影響、そしてファイナンシャルプランナーからの具体的なアドバイスをご紹介します。

 

日本銀行の金融政策に関する最近の動向

日本銀行は、2024年2月19日に、マイナス金利を解除した後の長期金利の動向について、緩和的な金融環境を維持する観点から、物価予想の影響を除いた実質金利が重要になると発表しました。長期のインフレ期待の水準を踏まえると、当面は1%半ばが意識される可能性があるとのことです。

 

さらに、2024年3月19日の金融政策決定会合で、日本銀行は世界で最後のマイナス金利(マイナス0.1%)を解除し、17年ぶりの利上げを決定しました。イールドカーブコントロール(YCC)の廃止や上場投資信託(ETF)の新規購入の停止も決定し、2013年4月以来の大規模な金融緩和政策は転換点を迎えたと報じられています。

 

(参考)金融政策に関する決定事項2024年(日本銀行HP)

 

金融緩和の終焉と家計への影響

日本銀行の政策変更は、私たちの日常生活における家計管理に大きな影響を及ぼしています。長らく続いたマイナス金利政策の終焉は、多くの家庭にとって、財務戦略を再考する契機となりました。金融政策の変更が家計に与える影響と、それに対する適切な対応策について考えてみます。

預貯金の利息増加とその影響

マイナス金利政策の解除により、銀行預金の利息率が上昇しました。これは、貯蓄をしている家庭にとっては明るいニュースです。利息収入の増加は、家計の貯蓄額を増やし、将来に向けた安定した資金計画にプラスの影響を与えます。

 

国内メガバンクも3月19日の日銀の公表を受け、預金金利に引上げ、引上げ検討を発表しています。ただし、普通預金金利が従来の0.001%から0.02%の20倍に引き上げられたとしても家計へのプラスの影響は限定的です。

 

また、この利息増加が物価上昇率に比べて十分であるかどうかは、家計によって異なるため、個々の状況を考慮した上での評価が必要です。

住宅ローンの負担増と対策

金利の上昇は、住宅ローンの返済負担を増加させる可能性があります。特に変動金利型のローンを利用している家庭では、返済額の増加に直面することでしょう。このような状況に対処するためには、固定金利への借り換えや、返済計画の見直しが有効な戦略となります。また、金利上昇期には、新たな住宅ローンを検討する際にも、より慎重なアプローチが求められます。

消費行動の変化と経済への影響

金利上昇は消費者の支出行動にも影響を及ぼします。借入れコストの増加は、大きな買い物や投資を控える傾向を強めることが予想されます。これにより、消費の抑制が起こり、経済全体の成長ペースが鈍る可能性があります。家計にとっては、支出の優先順位を見直し、必要な支出とそうでない支出を区別することが重要になります。

企業の資金調達コストと家計への間接的影響

企業にとっても、金利の上昇は資金調達コストの増加を意味します。これは、企業の投資意欲を減退させ、結果として雇用の減少につながる可能性があります。家計にとっては、これが収入減少に繋がる恐れがあるため、雇用の安定性にも注意を払う必要があります。

 

賢い家計管理のための戦略

金利上昇の時代において、家計管理はより緻密な戦略を求められます。金利上昇に対応するための家計戦略について見ていきましょう。

予算の見直しと貯蓄の強化

金利上昇は、貯蓄に対する利息収入を増やす可能性があります。家計の予算を見直し、無駄な支出を削減することで、貯蓄を増やすことが重要です。将来に備え、安定した財務基盤を築くためには、日々の支出を管理し、賢明な貯蓄計画を立てることが求められます。

 

金利上昇期においては、各金融機関で預金金利に差が出てくることが予測されるので、これまでは、「雀の涙」程度の預金金利に関心がなかった人も、これからは差が出てくることを意識してチェックしてみてください。

住宅ローンの固定金利への借り換えの検討

変動金利のローンを利用している場合、金利上昇による返済額の増加リスクを避けるために、固定金利への借り換えを検討することが有効です。固定金利への借り換えは、将来の金利変動による不確実性を排除し、家計の財務計画を安定させる手段となります。

 

ただ、金利上昇期は、金利が上がり続けることを前提に考えてしまいがちですが、金利は景気動向に影響されます。つまり、金利は上昇するし、下降もするということです。固定と変動にどちらが得かは、最後になってみないとわからないものですが、金利変動リスクに家計が耐えられるかどうかという視点が何よりも重要です。

 

(参考)住宅ローンは変動金利?固定金利?自分に合った金利タイプがわかる方法

投資ポートフォリオの再構築

金利上昇は、株式や債券などの資産価値に影響を与えます。投資ポートフォリオを見直し、リスクを分散させることで、金利変動に強い資産運用を目指しましょう。特に、インフレ率の上昇が予想される中で、資産の実質価値を保護するための戦略が必要です。

 

(参考)新NISA制度のメリットとコア・サテライト戦略の実践方法

緊急資金の確保

金利上昇に伴う経済状況の変化に備えて、緊急時に対応できるように手元に十分な流動性を確保しておくことが重要です。緊急資金は、予期せぬ出費や収入の減少に対応するための安全網となります。

教育費と生命保険の見直し

子供の教育費や生命保険など、長期的な財務計画に影響を及ぼす項目についても、現在の金利環境を踏まえて見直しを行うことが望ましいです。教育費の計画や生命保険の選択は、家計にとって長期にわたる影響を持つため、慎重な検討が必要です。

 

(参考)生命保険の必要保障額を正しく見積もる:初心者向けステップバイステップガイド

 

金利上昇の波を乗りこなす:家計管理の新たな展開

金利の上昇は、家計にとって予期せぬ課題をつきつけることがあります。けれども、この変化を適切に捉え、対策を立てることで、家計をより強固なものに変える大きなチャンスとなるのです。

 

金利が上がることで、貯蓄の利息収入が増える可能性があり、これを資産形成の好機と捉えることができます。また、住宅ローンの借り換えや投資ポートフォリオの見直しを通じて、将来の不確実性に備えることも重要です。

 

このコラムが、金利上昇時代における家計戦略の一助となれば幸いです。賢い家計管理は、不確実な経済状況の中でも安定した生活を送るための鍵となります。今こそ、家計管理の見直しと戦略的な計画を立てる絶好の機会です。どうぞ、この機会を最大限に活用してください。

 

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(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

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