【第13回】住宅ローンを組む際に知っておきたい団体信用生命保険のこと
住宅ローンを組む際、団体信用生命保険(団信)に加入すると、ローンを組んだ人に万が一のことがあった場合、ローンの残債が完済できる仕組みになっています。今回は、団体信用生命保険について解説します。
団信に加入すると、万が一の場合に安心できる
フラット35で住宅ローンを借りる場合は、団信は「別途、任意加入」ですが、民間の金融機関の多くは、団信に加入することが必須となっています。住宅ローンを組んでいる人が、死亡または高度障害状態になった場合でも、団信により住宅ローンの残りを返さなくて済みますので、残された家族は安心してその家に住むことができます。団信の保険料は、通常、住宅ローンの金利に含まれていることが多いですが、中には、金融機関が保険料を負担してくれる場合もあります。なお、フラット35を組む人が、機構団信(住宅金融支援機構が提供する機構団体信用生命保険特約制度)に加入する場合は、1年ごとに特約保険料を支払う必要があります。
夫婦で住宅ローンを組む場合
共働き夫婦など、収入合算をしたり、夫婦でそれぞれ住宅ローンを組む方も多くいらっしゃいます。それぞれ、団信の効果を見てみましょう。
夫婦で収入合算をする場合
例えば、夫名義で住宅ローンを借りて、妻の収入を合算する場合、団信は夫のみ加入します。夫に万が一の場合は、住宅ローンは全て弁済されますが、妻に万が一の場合は、夫名義の住宅ローンはそのまま残ります。妻が借り入れる分に合わせて、別途生命保険に加入するなど、妻に万が一の場合にも備えることをお勧めします。
夫婦それぞれが住宅ローンを組む場合
借り入れるローンの額に応じて、夫婦それぞれが団信に加入できますが、金融機関によっては、夫婦が加入できる保障額の割合など条件を設けている場合もありますので、事前に必ず確認をしましょう。また、夫婦どちらかに万が一の場合、本人名義のローンは全て弁済されますが、パートナー名義のローンはそのまま残ります。残された一方が、無理なく残りのローンを返せるかという視点でも、ライフプランを立ててみましょう。
フラット35「デュエット(夫婦連生団信)」
夫婦で連帯債務者となってフラット35を組む場合、機構団信の「デュエット(夫婦連生団信)」を利用することができます。夫婦2人分の特約保険料は、1人の場合の約1.56倍ですが、夫婦のどちらかが死亡または高度障害状態になった場合、夫婦の持ち分割合や返済額等に関係なく、住宅ローンが全額弁済されるというものです。
3大疾病などの保障がついた団信も登場
かつては、死亡や高度障害の場合に限られていた団信ですが、最近は、3大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞)など所定の状態に該当した場合にも、住宅ローンが全額弁済される3大疾病保障付き団信なども増えてきました。「幸い命は助かったものの、がんなどで働くことができない」という場合にも住宅ローンが弁済されるので大変安心ですが、保険料(上乗せ金利)が高くなったり、フラット35の「デュエット(夫婦連生団信)」と併用できないなど、条件がありますので、本当に必要かどうかよく検討しましょう。
年齢が若い方は、団信の代わりに民間保険会社の保険に加入する方法も
団信の保険料は、年齢に関係なく設定されていますが、借り入れる方の年齢が35歳以下など若い場合は、民間の生命保険の方が、保険料が安くなる可能性があります。保障内容や使い勝手など、団信と比較してみてはいかがでしょうか。
保険の見直しも同時に!
団信に加入することで、住宅費用の大部分を賄うことができますので、これまで加入していた生命保険の保障額を減らせる可能性もあります。逆に、夫婦でローンを組む場合は、妻の生命保険を増やしたり、働けなくなった場合に備える就業不能保険などに加入するケースもあります。住宅ローンを組む際に、ライフプランを立てるわけですから、同時に保険全体も見直してみましょう。
住宅ローンを組む際には、団信に加入することで、万が一の場合に安心できるというメリットがありますが、デメリットやリスクもありますので、自分の状況や希望に合わせて、最適な選択をすることが大切です。団信の保険料や条件は、金融機関によって異なりますので、複数の金融機関を比較してみることもお勧めします。
(執筆:平野直子)
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