投資の3原則を愚直に実践した者が最後に笑う!?
2022年上半期の投資環境の振り返りと今後の投資戦略
2022年に入り、日本を除いた多くの国ての利上げによる金融引き締め観測が強まり、また、ウクライナ情勢の悪化により、各国の株式市場は大幅な調整局面となりました。
投資に取組み始めて間もない方にとっては、投資資産が大幅に減ることに多少の恐怖を覚えたことでしょう。投資経験の豊富な方は、「またか……」といった心持かもしれません。【図】は、年初来(7月8日時点)の各市場の円建てトータルリターンを表したグラフです。
国内外の株式は全てマイナス、債券市場は、利上げにより債券価格は下落しますが、急激な円安により、円建てでは米国債は大幅なプラスとなっています。また、外国通貨は、総じて円安となり、プラスの結果となっています。改めて、国内外の株式・債券・通貨に分散投資を行うことの有効性を確認することができます。従前より、国内株式を中心に運用する方がいらっしゃいますが、比較期間では、最も運用成績が悪いという結果でした。
歴史的に見ると株式が下落する局面は景気後退(リセッション)と関連性があると言われています。米国では、景気後退局面に入りそうと言われつつも、まだ景気後退に入っていません。
1871年からのデータでは、米国の株価は約5カ月前にピークをつけ、景気後退明けの約5ヵ月目に底打ちするとのことです。また、景気後退の期間は、平均で16.7ヵ月とのこと。もしこのまま米国が景気後退に進み、過去のデータに従うならば、米国株価は下降基調となり、底を打つまでにしばらく時間を要することが予想されます。ただ、景気後退となるかどうかは不確定な状況ではあります。
投資の鉄則3つ、「分散投資」「長期投資」「感情の排除」
投資は、安い時に買って、高い時に売れば、収益は多くなりますが、残念ながら、相場を見ながら臨機応変に投資のタイミングを当てるのは難しいでしょう。
株価が下降局面では、「まだ下がるかもしれない」という恐怖感で投資から遠のいてしまいがちですが、資産形成層で積立投資を行っている者にとっては、「長い目で見れば安く買える期間」と捉えることもできます。
投資の鉄則は、
①分散投資、
②長期投資、
③感情の排除
です。
分散投資は、資産分散・地域(通貨)分散、時間分散(積立)の3原則です。また、長期投資は、最低でも10年以上の投資期間を想定することです(TOPIXで10年間運用でマイナスの発生確率は8.8%、最大▲0.6%/年。2006.10-2020.6末)。
そして、感情の排除という意味では、ポートフォリオを決定したら、愚直そして機械的にリバランスと積立投資を継続することです。そうすれば、投資の欲望や恐怖に惑わされることなく、資産形成達成の可能性が高まるでしょう。
(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)