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コラム

株式投資型CFは、新たなリスクマネー供給源となるか?

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2022年06月01日(水)
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株式投資型クラウドファンディングとエンジェル税制

コロナ支援など最近、メディアで話題にあがる機会が増えてきたクラウドファンディング(以下CF)。2020年度の市場規模は1,841億円で、2012年度の71億円から約25倍以上拡大しています(矢野経済研究所調査)。

 

CFは、実行者がプロジェクトを紹介して支援金を募集し、不特定多数の人(支援者)が支援金を提供します。支援者には支援金に応じて設定されたプロジェクトに関連する商品やサービス等のリター ンが実行者から提供されます。 CFには、大きく寄付型、購入型、金融型の3類型があり、金融型はさらに融資型、投資型、株式型に分かれます。

 

今回は、今後注目されると思われる株式(投資)型CFについて紹介します。株式型のCFでは、事業者(非上場の株式会社)の株式を取得する対価として資金を提供し、事業者の利益を株主(資金提供者)に配当します。

 

株式型CF制度は、新規成長企業への成長資金の円滑な供給に資することを目的として、非上場株式の発行を通じた資金調達を行うための制度として2015年5月に創設されました。実際に募集が開始されたのは、発行総額1億円以下、1名当たりの投資額50万円以下の投資型CF仲介を規制する第一種少額電子募集取扱業者の規制が整備された2017年以降です。

 

投資型CFでは2020年末までに231件の取り扱いがあり、2017年4月に第1号案件が成立して以降、計161件・累計50億円超の資金調達が行われました。

 

株式型CFの利用企業の特徴として、

①シード・アーリーステージの企業が9割以上を占める

②IT・テクノロジーを中心に健康・医療、水産・農業等の幅広い業種の企業が利用

③自社のPR戦略やサービス普及が目的

④投資型CF利用前にベンチャーキャピタルから資金調達を実施

等が挙げられます。

 

2020年の米国での株式型CF利用企業数1035社、調達総額236億円(日本は69件、22億)と比較すると、国内株式型CFは、拡大傾向にあるとは言え、まだ黎明期といえます。

エンジェル税制で株式型CFが対象に

エンジェル税制は、ベンチャー企業への投資を促進するためにベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。 この税制優遇の投資対象に株式型CFが加わりました(令和2年4月)。
〇投資時点の優遇
・設立5年未満の企業の場合、(対象企業への投資額-2000円)をその年の総所得から控除
・設立10年未満の企業の場合、対象企業への投資額全額をその年の株式譲渡益から控除
〇売却時点の優遇
・売却損が発生した場合、株式譲渡益との損益通算と翌年以降3年間、損失の繰り越しが可能。

 

株式型CFに関して、ベンチャー企業へのリスクマネー供給の観点から機関投資家への投資上限の撤廃や勧誘規制などの見直しが現在行わています。

 

株式型CFへの投資者が株式を現金化するにはIPOやM&Aという限られた機会ですが、「ファンディーノ 」が未上場株の取引市場を開設する等、流動性確保の仕組みが浸透すればさらに市場が拡大すると期待しています。

 

LFCの金融資産マネジメント

 

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

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