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コラム

「合理的な判断はできない」ことを認識して投資を行う!

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2022年04月01日(金)
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行動ファイナンスの基礎と資産運用

最近、さまざまな分野で心理学が応用され、行動経済や行動ファイナンスという言葉を頻繁に目にするようになりました。行動ファイナンスは、「人は常に合理的な行動をするとは限らない」という前提に立って、経済の様々な現象や金融市場の動きを考察する理論です。

 

投資経験のある方でも過去の統計上は、〇〇であるのに、様々なことが頭の中に思い浮かび、最終的に統計上の想定と異なる意思決定をすることはしばしばあることでしょう。

 

行動ファイナンスでは、投資家の意思決定上の歪みの源泉によって価格形成に歪みが生じ、合理的な投資家の裁定取引に限界があるためにアノマリー(理論的根拠があるわけではないが、投資の格言のような、よく当たる相場での経験則)が発生すると想定されています。投資家は、合理的な意思決定ができないことを前提としつつ、意思決定の歪みの源泉を知っておくことで、投資の意思決定(初期投資、 相場の乱高下、売却等)で、一歩引いた冷静な判断ができるのではないかと思います。 

資産運用限定合理性:人間の意思決定は合理的に行われないという概念

●記憶の不正確性:記憶は正確ではなく、思い出すときの状況に応じて脚色されて作り出される。
●情報の選別的認識:大量の情報が存在する中で、自分に都合の良い情報を選別して認識することで、自分の行動を正当化しようとする。
●判断の不正確性:認識・統計処理能力の限界、対照効果、状況への依存性。

 

例えば、ある会社の株価の乱高下があったとして、下がった直後に投資判断をする際に、株価をランダム的に捉えると、次は上がる可能性の方が高いと感じてしまうこと多いでしょう。本来は、その会社の戦略、経営・財務状況をしっかり分析した上で投資判断をする必要があります。つまり、投資の意思決定をする際に、データは重要で、将来の予測についても直感的な根拠ではなく合理的な根拠をできるだけ追求する姿勢が重要です。

感情的要因:人間の意思決定は感情に左右されるという概念

(当たり前のことですが・・・)

 ●後悔の回避:「失敗に伴う後悔」という精神的苦痛をできるだけ回避・緩和するように過度に保守的な意思決定を行う傾向がある。

 

なかなか投資を始められない人は、この壁を乗り越えられるかがポイント。投資に絶対はないものの、分散投資を行った運用は、預貯金の運用をパフォーマンスで上回る可能性が高い。 

社会的要因:人の目を気にして、自分の意思とは異なる意思決定を行う傾向があるという概念

●ムード:社会全体のムードに意思決定が左右されやすいこと。(例.バブル期の強気の投資姿)
●群れの行動:自分以外の人々の意見が一致しているときに、それと異なる意見を主張することが心理的に難しいこと
●認知的不協和の回避:自分の言動をできるだけ首尾一貫させたいと感じる傾向のことで、過去の判断や行動と整合的でない意思決定を行うことが難しいこと。状況の変化によって過去の意思決定の修正が必要な場合であっても、過去の判断にこだわって、機動的な意思決定の変更を阻害する傾向になる。

 

社会的要因の影響を受けないということは、世間や他人に左右されないということと同義になるので、なかなか難しいことかもしれません。なぜなら、自分自身が投資に関する判断基準をしっかり持つ必要があるからです。さらにその判断基準を状況変化に合わせて柔軟に変更する(ただし、それも合理的である必要があります)。

 

このように考えると、投資の意思決定は個人の能力の範疇を超えてしまいます。だからこそ、アノマリーが発生するとも言えます。

 

私たち個人投資家としては、意思決定には歪みの源泉があることを認識しつつ、自身が納得できるまで、ネットや販売員からの情報に疑問を持ち続ける姿勢が大切でしょう。

 

LFCの金融資産マネジメント

 

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

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