家計支出のポイント消費が増加、ポイントも貯蓄から投資へ
コロナ禍で、ネットショッピングやキャッシュレス決済を通じて、ポイントを貯める機会が増えてきました。現金や振り込みの支払い以外は、何らかの形でポイントが付きますので、年間で数万円単位でポイントを獲得する計算になります。
これまでは、貯まったポイントは、商品と交換するか、買い物をして消費するしか使い道はありませんでした。ところが、最近は、貯めたポイントを運用するサービスが急速に増えています。いち早くポイント投資の提供をはじめたのは、クレディセゾンで2016年12月に「永久不滅ポイント運用サービス」をスタートさせたのを皮切りに、参入が相次いで、投資初心者や若者など新規顧客獲得のため、競争が激化しています。
ポイント運用の種類
ポイント運用は、手持ちのポイントを使って投資体験ができるサービスで、ポイント投資型とポイント運用型に分類されます。
【ポイント投資型】
ポイント投資型は、ポイントを現金化し、株や投資信託を実際に売買する投資方法です。ポイント運用型は、ポイントを現金化せず、運用コースを選択して運用します。
【ポイント運用型】
ポイント投資型は、サービスを導入している証券会社に口座開設をする必要がありますが、ポイント運用型は、面倒な口座開設手続きをすることなく、投資を疑似体験できるというメリットがあります。
4大ポイントは全てポイント投資が可能
ネットエイジアによる「日本人のポイント活用に関する調査2020」(20-40代の男女が対象)によると、利用しているポイントサービスは、上位からTポイント(65.7%)、楽天ポイント(60.2%)、Pontaポイント(46.6%)、dポイント(34.8%)になっています。TポイントはSBI証券、楽天ポイントは楽天証券、Pontaポイントはauカブコム証券、dポイントはSMBC日興証券(ダイレクトコース)で、ポイント投資ができるようになっています。つまり、普段から馴染みのあるポイントの大部分でポイント運用が可能になっています。
●投資対象・投資金額は?
サービスを提供する証券会社によって異なりますが、証券会社が取り扱っている株式や投資信託が対象となり、ポイントを購入代金の全て、あるいは一部に充当することができるようになっています。株式や投資信託を購入するとポイントが貯まるプログラムがある場合、さらにポイント投資が行いやすくなります。
●ポイント投資(株式・投資信託)の税金
ポイントを使用して株式や投資信託を購入した場合、ポイント使用相当額はその利用した日の属する年の一時所得の総収入金額に算入します。
一時所得の金額 = 総収入金額(ポイント使用相当額) - 収入を得るために支出した金額(※)- 特別控除額(最高 50 万円)×1/2
(※)一般的なポイントの獲得では発生しません
家計におけるポイント運用への取り組み方は
●ポイント運用をお勧めする人
投資初心者等、これから投資を始める人に特におすすめです。いざ投資をしようと思っても、損するのが怖くて、なかなか始められないという人が多いです。ポイント投資も、投資に違いはないので、元本は減ることはあります。けれども、もともと、タダでもらったポイントと思えば、損することへの心理的抵抗は軽減されます。
●ポイント交換とポイントサービスの見直し
ポイントが貯まるという理由で、たくさんのポイントサービスを利用している人も多いでしょう。ポイント交換サービスを利用すると、特定のポイントに交換できるので、ある程度まとまったポイント投資ができます。ただ、やはり手間がかかるので、利用頻度などから、ある程度ポイントサービスは絞った方が良いように思います。
ポイントも貯蓄から投資へ
国内のポイントサービス市場規模は2兆円を超え、更なる拡大が予測されます。家計におけるポイントも同様に増えるでしょう。ポイントは、生活の余剰資金として、「貯めて使う」のではなく、「投資をしてから使う」に転換することで、生活がより豊かになるのではないかと思います。
(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)
※ニューズレター「暮らしと資産のコンシェルジュ通信・2021年新春号」より