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コラム

コロナショック時に投資家がとった行動は?積立投資家vs一括投資家

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2020年08月24日(月)
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世界的な新型コロナウイルス感染症拡大を受け、2月24日のニューヨーク市場でダウ平均株価が1000ドル以上の下落となり、日本でも日経平均株価は続落し、コロナショック前の23,386円から一時16,552円と下落率は3割に達しました。

 

コロナショック、V字回復の要因は?

まだ記憶に新しいリーマンショックを振り返ると、下落率は約4割に達し、その後、株価が回復するまで相当の期間を要しました。今回のコロナショックの場合、20日で底を打ち、その後上昇に転じ、8月4日の日経平均株価は22,573円となり、急落後、V字回復したといって良いでしょう(図1)。これは、日本だけではなく、米国、欧州など先進国の株価指数も同様の動きを示しています。

 

新型コロナによる世界経済への影響は、リーマンショックを超えると言われる中、V字回復をしている理由として2つ考えられます。第1に、各国中央銀行が、大規模な金融緩和を迅速に実行したことです。リーマンショックの経験を活かすことができたと言えるでしょう。第2に、景気の急速な後退の原因が、各国政府主導による経済活動の制限という目に見えるものであったことです。感染拡大が収まれば、やがて経済活動は元にもどるという見方によるものです。

 

(図1)

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※ニッセイ基礎研究所「コロナショック後の金融市場動向」より引用

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64677&pno=1?site=nli

 

コロナショック時の投資行動、積立投資家vs一括投資家の損益状況は?

ところで、コロナショック時に投資家がどのような行動をとったか気になるところです。野村アセットマネジメントが行った「新型コロナウイルス感染拡大に対する投資家意識調査」(2020.3.25-26実施)に面白い結果が出ているので紹介します。

 

(図2)投資信託(投資手法別)の損益状況

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※野村アセットマネジメント「投資家意識緊急アンケート」より引用

https://www.nomura-am.co.jp/special/survey/

 

全体として61%の人が損失が発生している中、積立投資家と一括投資家を比較すると、積立投資家の損失発生割合は59%、一括投資家は68%で大きな差が出ました(図2)。その要因は、各タイプの投資行動を比較すると明らかになります(図3)。

 

(図3)

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※野村アセットマネジメント「投資家意識緊急アンケート」を参考に作成

 

積立投資家は、下落は安く買えるチャンスと捉え、コロナショック後も積立を継続し、その結果、損失割合は減少したと言えます。一方、一括投資家は、どうすれば良いのかわからず、現状維持をした人が多く、価格が下がったところで追加投資をする割合が積立投資家よりも少なく、損失発生率を減らすことができなかったと言えます。一括投資家で売却(含む検討)をした人が7%だったので、一番やってはいけない、底値で売却してしまった人も一部いたと想像できます。

 

調査結果では、マーケット環境の急変時においても、積立投資家の方が、じっくりと継続して資産運用を行っている様子がうかがえます。また、相場が下がっても安く買えるという積立投資の特徴を十分に理解し、相場に心惑わされることなく、確固たる意志をもって資産運用をしていると言えるでしょう。

 

8月に入り、足下の各国株価指数は、概ね堅調に推移しています。株価V字回復の要因が、新型コロナウイルスの収束後の景気回復を見越してだとすると、日本を含めた最近の世界的な感染拡大の勢いが止まらない中、世界経済への悪影響が懸念され、その楽観的な前提条件に不安を感じます。日本だけではなく世界の新型コロナウイルスの感染状況、経済情勢を注視していく必要があるでしょう。

 

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

LFCの金融資産マネジメント

 

※ニューズレター「暮らしと資産のコンシェルジュ通信・2020年真夏号」より 

 

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