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コラム

環境・社会にやさしい企業に投資をした方が良いの?

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2019年08月27日(火)
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ESG投資

注目されるインパクト投資とESG投資

新しい投資の手法として、「インパクト投資」が注目されています。従来型の投資手法は、経済的リターンが重視されていました。インパクト投資では、「財務的リターンと並行して社会的および(もしくは)環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資」と定義されています。投資判断の評価にあたり、「財務的評価」だけではなく、「社会的インパクト評価」を加えて判断することで、投資における社会性と経済性を両立させようとするものです。

 

インパクト投資と同様に、最近よく目にするのがESG投資です。ESG投資は、環境(E)・社会(S)・企業統治(G)に配慮している企業を重視・選別して行なう投資です。 ESG評価の高い企業は事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つと言えます。 つまり、長期的な投資運用先として有力な候補となるわけです。金融サービス会社のフィデリティ・インターナショナルの調査によると、ESG評価の高い企業と一般企業を比較した場合、業界ごとにバラつきがあるものの、ESG評価の高い企業の方が、一般的企業よりも株式リターンが高く、全体的な価格の変動性も低いということを明らかにしています。

 

ESG投資は、欧米を中心に拡大してきましたが、日本では、公的年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG指数を採用したことを契機に、広く認知されるようになりました。GPIFが2019年7月5日発表した2018年度末のESG投資の資産残高は3兆5千億円(全体資産は159.2兆円)に達し、1年前の2.3倍に増えました。

 

ESG投資からSDGs投資へ

ESG 投資の普及を図る国際団体GSIAでは、ESG投資を7つのタイプに分類していて、インパクト投資はその一類型としています。また、2015年国連で環境や社会問題に取り組むための目標(SDGs:持続可能な開発目標)が採択されたことを受け、SDGsに取り組む企業が増えてきました。

 

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、貧困や環境問題など、世界が直面する様々な課題を解決するために、国連で採択された2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲット(具体的成果)から構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。投資家側もSDGsに取り組む企業を積極的に評価する動きが出て、SDGs投資が活発になっています。

※参照:LFCのSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みについて

個人でESG・SDGs・インパクト投資をするには?

私たち個人投資家が、これらの投資手法を採用するためには、ESG、インパクト、SDGsをテーマとした投資信託を購入することが基本になります。通常の投資信託と同様に、手数料(販売時、運用時、解約時)に留意する点と、投資対象が世界株式であるなら、世界株式のINDEX(例:MSCI All Country World Index)との比較が必要です。

 

さきほど、ESG投資は、一般的な企業への投資群と比較すると、高パフォーマンスであると述べましたが、MSCIでは、ESG投資指標を作成していて、一般的な投資指標との比較もしています。その結果、国際投資指標(MSCI WorldとMSCI World ESG Leadersとの比較)では、一般的な投資指標の方がパフォーマンスが良く、国内投資指標(MSCI Japan IMI Top 500とMSCI Japan ESG Selected Leadersとの比較)では、ESG投資の方が高パフォーマンスであることを示しています。

 

企業のESGへの取り組むがより進めば、一般企業の指標とESG企業の指標に差はなくなるものだと思います。国内において、ESG企業の方が高パフォーマンスなのは、グローバル市場と比較し、国内市場のESG活動が遅れていると言えるかもしれません。

 

ESG投資と一般投資の比較

(出所:MSCIレポートより、転載)

 

話が、少し脱線しましたが、投資信託を選択する場合、本来、投資対象で高パフォーマンスが期待されるのに、INDEXよりも劣っている投資信託も少なくありません。これは、中間に金融コストが発生しているからに他なりません。やはり、資産運用と社会性は切り離して考え、社会貢献は、別の手段を考えた方が良いと個人的に思います。

 

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

 

※ニューズレター「暮らしと資産のコンシェルジュ通信・2019年真夏号」コラムより(一部加筆・修正)

 

暮らしと資産のコンシェルジュ通信(2019年真夏号)の紹介

 

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