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コラム

「特別に備えない防災」という新しい考え方 ― 3.11から15年、家計と暮らしを守る“家庭のフェーズフリー”の防災

カテゴリ: FP夫婦のふたり言 公開日:2026年03月08日(日)
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2026年3月、東日本大震災から15年を迎えます。

 

あの震災は、多くの人の暮らしを大きく変えました。停電、物流の停止、避難生活、そして収入の不安定化。
災害は「命の問題」であると同時に、「生活と家計の問題」でもあることを私たちは経験しました。

 

近年は地震だけでなく、豪雨や台風、猛暑などの気候リスクも増えています。
そのため、防災は特別な備えではなく、「日常の家計管理の一部」として考える時代になっています。

 

そこで最近注目されているのが、**「特別に備えない防災」**という考え方です。

 

これは、日常と非常時の境界をなくし、普段の暮らしそのものが防災になっている状態を目指すものです。

 

 

「フェーズフリー」という新しい防災の考え方

この考え方を象徴する言葉がフェーズフリー(Phase Free)(※)です。

 

フェーズフリーとは、
日常時(平常時)と非常時(災害時)という社会の状態=「フェーズ」にとらわれず、どちらの状況でも役立つモノやサービスを取り入れ、生活の質(QOL)を高めていこうとする考え方です。

 

従来の防災は

 

・非常食
・懐中電灯
・防災袋

 

など、非常時のためだけの備えが中心でした。

 

しかし、フェーズフリーでは、「いつも使っているモノやサービスが、もしものときにも役立つように設計する」という発想を重視します。

 

たとえば

 

・普段の食品を少し多めに買うローリングストック
・キャンプ用品を防災用品として活用
・ポータブル電源を日常利用
・太陽光発電や蓄電池を普段の電力として利用する

 

などです。

 

このように、日常の暮らしの中に自然に防災を組み込むことで、無理なく備えを続けることができる合理的な方法でもあります。

 

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※「フェーズフリー」は、日常時と非常時の区別をなくし生活の質向上を目指す、ソーシャルデザインの考え方で、スペラディウス株式会社の登録商標です。

 

 

在宅避難と家庭備蓄

近年の防災で重要視されているもう一つのポイントが、在宅避難です。

 

住宅の安全が確保できる場合、避難所ではなく自宅で生活を続けることが推奨されています。
そのために必要なのが家庭備蓄です。

 

目安としては次の通りです。

 

・飲料水 1人1日3リットル
・最低3日分、できれば1週間分の食料
・カセットコンロ
・簡易トイレ
・モバイルバッテリー

 

特に水は重要です。
一般的には、1人1日3リットルが目安とされています。

 

これは飲料水だけでなく、調理や最低限の生活に必要な量を含んでいます。

 

家庭によって必要量は異なりますが、少なくとも3日分、できれば1週間程度の備蓄が望ましいとされています。

 

 

災害は「家計リスク」でもある

災害は、家計にも大きな影響を与えます。

 

・収入の減少
・住宅修繕費
・生活費の増加
・避難費用

 

特に注意したいのは、収入の減少です。
災害時には勤務先の営業停止などにより、収入が一時的に減ることがあります。

 

そのため、家計の防災として重要なのが生活防衛資金です。

 

一般的には、生活費の6か月分程度の資金があると安心と言われています。

 

もちろん家庭の状況によって適切な金額は異なりますが、防災の観点からも一定の貯蓄は重要です。

 

 

デジタル防災という新しい備え

最近は「デジタル防災」も注目されています。

 

たとえば、

 

・スマートフォン決済
・クラウド保存
・防災アプリ
・安否確認サービス

 

などです。

 

災害時には通帳や書類を取り出せないこともあります。

 

そのため

 

・保険証券
・住宅ローン情報
・緊急連絡先

 

などをスマートフォンやクラウドに保存しておくことも有効です。

 

また、モバイルバッテリーやポータブル電源など、電力の確保も現代の防災では重要な要素になっています。

 

 

今日からできる防災アクション

防災は「大きな準備」が必要と思われがちですが、小さな行動の積み重ねで整えていくことができます。

 

次の3つのステップで考えてみましょう。

今日(30分)

まずは、現状を確認することから始めます。

 

首相官邸が公開している防災チェックリストなどを参考に、家族構成に合わせて不足している備蓄を確認します。

 

その際には

 

・子ども
・女性
・高齢者
・持病がある家族

・ペット

 

など、それぞれに必要なものが不足していないかを確認しましょう。

 

チェックリストに赤ペンで印をつけるだけでも、「何が足りないか」が見えてきます。

今週(買い足し・整頓)

次に、備蓄の基本を整えます。

 

特に水は、1人1日3リットルを基準に、

 

・最低3日分
・できれば1週間分

 

を目安に準備します。

 

食料はローリングストックを活用すると、無理なく備蓄ができます。

 

つまり

 

買い足す → 消費する → 補充する

 

というサイクルを習慣化する方法です。

 

日常の買い物の延長で防災ができるため、「備えない防災」の考え方にもつながります。

今月(家計の制度化)

最後に、防災を家計の中に組み込みます。

 

おすすめなのが、防災積立です。

 

例えば月1,000〜3,000円程度を積み立てるだけでも、年間では1万〜3万円の防災予算になります。

 

優先順位としては、

 

1 備蓄食料
2 簡易トイレ・衛生用品
3 家具固定
4 保険の見直し

 

の順で整えていくと良いでしょう。

 

家計の支出構造を見ながら、

 

・食費
・通信費
・サブスク

 

など、削減できる変動費から移していく方法がおすすめです。

 

 

「特別な備えをしなくても備えられる暮らし」が家計を守る

災害はいつ起きるか分かりません。
しかし、備えることは今日からできます。

 

フェーズフリーという考え方が広がる中で、防災は特別なことではなく暮らしを整えることそのものになりつつあります。

 

東日本大震災から15年。
この節目に、ご家庭の備えを見直してみてはいかがでしょうか。

 

小さな備えの積み重ねが、いざというときに家族の安心と家計を守ってくれるはずです。

  

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

  

LFCの生活リスクマネジメント

 

【参考】フェーズフリー総合サイト

【参考】フェーズフリーコンセプト&ガイドサイト

 

 

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