「生活設計と年金に関する世論調査」が公表、約4割は66歳以降も働きたい
「生活設計と年金に関する世論調査」の概要
「生活設計と年金に関する世論調査」(内閣府、令和6年3月)が公表されました。この調査は、全国18歳以上の日本国籍を有する5,000人を対象(有効回収数2,833人)に、生活設計と年金に関する意識を把握し、今後の施策の参考とすることを目的としています。この調査結果から、老後の生活設計における公的年金の位置づけや、公的年金以外の資産形成、私的年金制度への理解と利用状況など、多くの示唆に富んだ情報が得られます。
まず、老後の生活設計において、約4割の方が66歳以上まで働きたいと回答しています。また、公的年金に全面的に頼ると回答した方は26.3%で、公的年金を中心に個人年金や貯蓄を組み合わせると回答した方が53.8%となっています。これは、公的年金だけでは生活が厳しいと感じている方が多いことを示しています。
(出所:第33回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料より転載)※クリックすると拡大します
また、公的年金以外の資産として、「預貯金」が6割を超え、「退職金や企業年金」が3割程度となっています。しかし、「NISA」や「iDeCo」については、20代~40代では高い割合で回答がありました。これは、若い世代ほど投資に対する理解が深まり、資産形成の一環として活用していることを示しています。
私的年金制度については、一人ひとりの多様なニーズに合わせて老後に向けた資産形成を行うことができると認識している方が4割程度で、特に20代~50代では4割を超えています。また、拠出した掛金について税制優遇を受けられることを認知している方は全体で3割程度で、30代~40代では4割を超えています。
私たちがこれから取るべき行動
これらの結果から、私たち生活者が取るべき行動として、以下の3点があげられます。
- 1. 公的年金以外の資産形成を考える:
公的年金だけでは生活が厳しいと感じている方が多いため、公的年金以外の資産形成を考えることが重要です。預貯金や企業年金だけでなく、NISAやiDeCoなどの制度を活用することも一つの手段です。
2. 投資について学ぶ:
NISAやiDeCoなどの制度を活用するためには、投資についての知識が必要です。投資について学ぶことで、より効果的な資産形成が可能となります。
3. 私的年金制度を活用する:
私的年金制度は、一人ひとりの多様なニーズに合わせて老後に向けた資産形成を行うことができる制度です。また、拠出した掛金について税制優遇を受けられます。これらのメリットを理解し、活用することをお勧めします。
私的年金制度についての関心とLFCで多い相談テーマ
調査結果の中で、「私的年金制度について詳しく知りたいことについて」についても触れられています。「掛金の効果的な運用方法」については、全体ではそれほど高くない、という意外な結果でした。
その一方で、「ライフプランに合わせた受給開始方法の選び方」については、30代・40代で約4割が知りたい内容として挙げていました。一時金で受け取るか、年金で受け取るか、あるいは併用が良いのかなど、私たちLFCへの相談でも多いテーマです。LFCでは、ライフプランに合わせたIDeCoの受け取り方、NISAの取り崩し方などをシミュレーションを行いながらアドバイスしています。
以上、「生活設計と年金に関する世論調査」の結果を踏まえたアドバイスでした。皆様の資産形成と生活設計の参考になれば幸いです。
ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣