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コラム

2026年税制改正で変わる子どもへの資金援助をFPが解説

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2026年01月22日(木)
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2026年税制改正大綱により、教育資金一括贈与の終了と未成年版NISAの創設が示され、子どもへの資金支援の考え方は大きく変わりつつあります。

 

本記事では、制度の背景と狙いを整理したうえで、父母のNISA活用や祖父母からの贈与、住宅取得資金の考え方など、家庭が考えておきたい子どものお金の備え方をFPの視点から解説します。

 

 

税制改正で変わる子ども支援の仕組み

税制改正で見えてきた子ども支援の方向性

令和8年度税制改正大綱では、子どもや若い世代への資金支援に関する制度が大きく整理されました。今回の改正は、単なる税制上の調整にとどまらず、「次世代をどのような仕組みで支えるのか」という政策の方向性を明確に示すものといえます。

 

子育て世帯やこれから家庭を持つ世代にとっても、今後の家計設計や資産形成の考え方を見直すきっかけとなる重要な改正です。とくに、教育資金贈与の終了と未成年版NISAの創設は、その象徴的な動きといえるでしょう。

教育資金一括贈与制度が終了する理由

まず、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度は、令和8年3月31日をもって延長なく終了することが決まりました。最大1,500万円まで非課税とされてきたこの制度は、祖父母世代が孫の教育を直接支援しやすい仕組みとして一定の役割を果たしてきました。

 

しかし一方で、制度の利用が資産に余裕のある家庭に偏りやすく、結果として資産格差の固定化につながるのではないかという課題も指摘されてきました。近年は、高校や大学の授業料無償化など公的な教育支援も進んでおり、こうした環境の変化を踏まえて、制度としての役割を終えたと位置づけられたと考えられます。

未成年版NISAの創設とその仕組み

その一方で、新たに示されたのが、0歳から17歳までを対象とする未成年版NISAの創設です。この制度では、年間60万円、非課税保有限度額600万円の枠内で、子ども名義の資産形成が可能となります。

 

原則として18歳まで払い出しは制限されますが、12歳以降は教育費や災害などのやむを得ない理由があれば、例外的に払い出しも認められています。18歳になると成人向けNISAへ移行し、その後も非課税での運用を継続できるため、子どもの成長に合わせて長期的な資産形成を続けられる設計になっています。

未成年版NISAが目指していること

未成年版NISAの導入には、いくつかの明確な意図があります。

 

第一に、次世代の資産形成を長期的に支援し、大学進学や留学、就職、結婚といった人生の節目に必要となる資金に備えられるようにすることです。

 

第二に、「貯蓄から投資へ」という国の方針をさらに進め、個人の資金を経済成長につなげること。

 

第三に、教育資金の一括贈与のように一部の層が有利になりやすい制度を見直す一方で、より多くの家庭が公平に利用できる仕組みを広げ、格差の固定化を防ぐこと。

 

第四に、若い世代が早い段階から金融に触れ、金融リテラシーを高める機会をつくることです。

 

こうした点から、未成年版NISAは単なる教育費対策ではなく、将来に向けた資産形成の基盤をつくる制度といえるでしょう。

 

 

家庭としてどう備えるか―教育資金と住宅の考え方

教育資金を準備するうえでの注意点

もっとも、実務の視点で見ると注意点もあります。未成年版NISAには払い出し制限があるため、教育費という「使う時期が前後しやすい資金」を準備するうえでは、必ずしも万能な手段ではありません。進学先の変更や留学などで想定外の出費が生じることも考えられます。

 

そのため、父母のNISA枠が未活用であれば、まずはこちらを教育資金準備に使う方が柔軟性は高いといえるでしょう。父母のNISA口座の中で「子ども用」と目的を明確にした投資信託を選び、毎月2万円程度を積み立てることで、教育資金として管理しやすくなります。積立額や商品選びは、家計の余力やリスク許容度に応じて調整することが前提です。

祖父母からの資金援助の考え方

祖父母からの支援についても、教育資金贈与の非課税制度が終了したからといって、孫への資金援助ができなくなるわけではありません。暦年課税や相続時精算課税制度を活用すれば、年間110万円の基礎控除の範囲内で、計画的に教育資金を贈与することは引き続き可能です。

 

ただし、相続時精算課税制度は将来の相続と密接に関係するため、家族全体の資産承継を見据えた慎重な判断が求められます。

住宅取得資金の贈与というもう一つの支援

住宅取得資金の贈与については、令和8年12月31日までの適用期限が設けられていますが、住宅価格の高騰や住宅ローン金利の上昇によって、現役世代の住宅取得負担は確実に増しています。住まいは生活の基盤であり、子育て環境や老後の安心にも直結します。そのため、住宅取得を支援する制度は、教育資金とは異なる意味合いを持ち、今後も重要な役割を果たす分野といえるでしょう。

これからの子ども支援の考え方

今回の税制改正が示しているのは、個々の制度の新設や終了ではなく、子どもへの支援のあり方そのものが変わりつつあるという点です。

 

制度が変わっても慌てることなく、教育や住宅といった大きな支出について、使う目的と時期を整理し、家族に合った無理のない形で備えを進めていくことが、これからの子ども支援ではより重要になっていくでしょう。

 

※本記事は、「2026年 暮らしと資産のコンシェルジュ通信・新春号」の記事に一部加筆・修正を行ったものです。

 

 

▶参考情報:

令和8年度(2026年度)税制改正の大綱(財務省HP)※PDFが開きます

 

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(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

 

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