【2025年10月創設】リ・スキリング等教育訓練支援融資|フリーランス・個人事業主も対象の“学び直し支援”

「新しいスキルを身につけたいけれど、生活費の心配がある」「フリーランスとして働いてきたが、今後は会社勤めも考えている」――そんな方に向けて、2025年に厚生労働省が創設したのが「リ・スキリング等教育訓練支援融資」制度です。
これは、働く人が再就職に向けて学び直す際に、教育訓練の費用と生活費の両方を支援する融資制度。
雇用保険の対象外でも利用できるという点が、大きな特徴です。
雇用保険に未加入でも利用できる「融資型の学び直し支援」
多くの人が混同しやすいのが、「教育訓練給付金」との違いです。
教育訓練給付金は、雇用保険に加入している在職者や離職者を対象とした給付(返済不要)制度。
一方、今回の「リ・スキリング等教育訓練支援融資」は、雇用保険の被保険者でない人を対象とした融資制度(返済義務あり)です。
つまり、次のような人たちが主な対象です。
- 離職中の人(雇用保険の受給資格がない人)
- フリーランスや個人事業主で、廃業後に企業に雇用されることを目指す人
- 再就職を視野に、新しい分野でスキルを習得したい人
「雇用保険に入っていないから制度を使えない」と諦めていた層が、安心してリ・スキリングに取り組めるように設計されています。
教育費だけじゃない、生活費も支援 ― 最大月10万円の安心サポート
融資の対象となるのは、教育訓練費用だけではありません。
授業料や入学金、教科書・教材費に加え、訓練期間中の生活費(月10万円を上限)も借り入れできます。
教育訓練費と生活費を合わせて年間120万円、最長2年間までが上限。
たとえば、専門学校や職業訓練校、大学・短大・専修学校、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座などが対象となります。
融資は全国の労働金庫(ろうきん)が実施し、金利は固定年2%(保証料込み)。
返済期間や方法も柔軟に設定されており、学び直し期間中の経済的不安を軽減する仕組みです。
就職・年収アップで返済が軽く!成果に応じた免除制度も
さらに注目すべきは、訓練修了後に一定の成果を上げた場合、債務の一部が返済免除される点です。
条件は以下の3つをすべて満たすこと。
- 厚生労働大臣指定の教育訓練を修了している
- 訓練終了後1年以内に雇用保険の被保険者として就職し、1年以上継続勤務している
- 訓練前に比べて賃金が5%以上上昇している
この場合、賃金の上昇率に応じて、
・5%以上上昇で残債の30%(上限100万円)
・10%以上上昇で残債の50%(上限150万円)
が免除されます。
つまり「学び直し→就職→収入アップ」という流れを実現すれば、実質的な返済負担を大幅に減らすことができるのです。
手続きの流れ ― ハローワークから融資までのステップ
制度を利用する際は、まずハローワークでの相談から始まります。
次のような流れで手続きを進めます。
- ハローワークで求職申込みを行い、「リ・スキリング等教育訓練支援融資を受けたい」と伝える
- キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成
- 教育訓練内容を確認し、融資申請のための書類をハローワークに提出
- ハローワークの審査を経て、労働金庫で融資契約を締結
受講中は3か月ごとに進捗報告を行い、修了後には返済免除の申請も可能です。
申し込み前に知っておきたい注意点とお金の考え方
この制度はあくまで融資であり、給付ではありません。
返済義務があるため、「本当に必要な金額を、計画的に借りる」ことが大切です。
また、融資審査は労働金庫が行うため、必ずしも全員が借りられるわけではありません。
訓練の途中で退校した場合は契約変更が必要になり、虚偽申請や返済滞納があれば信用情報に影響することもあります。
制度の目的は「生活を支えながら学び直しを促す」こと。
安易な借入ではなく、将来のキャリアにつながる投資として位置づける意識が求められます。
リスキリングは未来への“再投資” ― フリーランス・個人事業主のキャリア再設計へ
AI・デジタル化、環境産業、介護・教育など、今後の雇用ニーズは変化し続けています。
「リ・スキリング等教育訓練支援融資」は、そうした時代の変化に合わせて、働く人がもう一度キャリアを組み立て直すための制度です。
特に、フリーランスや個人事業主として働いてきた人にとって、廃業後の再就職は大きな転機。
この制度を活用すれば、新しい分野への挑戦を経済面から後押ししてくれます。
学び直しは、未来への「再投資」。
働き方が変わる今だからこそ、リ・スキリングを通じて、自分らしいキャリアの第二章を描いてみてはいかがでしょうか。
※本制度は、ハローワークで要件確認を受けたうえで、労働金庫による審査を経て融資が実施されます。また、返済免除を受けた生活費分は所得税の課税対象となる場合があるため、確定申告が必要です。
▶参考情報:
・【2025年10月】教育訓練休暇給付金|キャリア形成と家計を支える新制度(LFC関連コラム)
(執筆:ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント 平野泰嗣)

