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コラム

平成30年住宅・土地統計調査が公表、首都圏集中と空き家増加が浮き彫りに

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2019年05月07日(火)
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住宅・土地統計調査が公表されました

 

総務省より、平成30年住宅・土地統計調査の結果が公表されました。この、 住宅・土地統計調査は、住宅や土地の利用状況を把握し、住生活関連の施策に活かすために、5年ごとに調査を実施しています。今回は、この調査結果について少し触れたいと思います。

首都圏への一極集中が浮き彫りに

 

日本全国の総住宅数は6242万戸で、平成25年と比べ179万戸 (3.0%)の増加となりました。人口減少・世帯数減少という言葉をよく聞きますが、まだまだ住宅戸数は、上昇傾向にあるようです。

 

平成25年からの総住宅数の増加数を都道府県別にみると、東京都が31万戸と最も多く次いで神奈川県が15万戸、千葉県が14万戸、埼玉県が12万戸となっています。

 

一都三県、いわゆる首都圏で全国の増加数の4割を占めています。よく言われている首都圏への一極集中が浮き彫りになっています。 

注目される空き家率は、13.6%で過去最高だが……

注目されている空き家の状況についてですが、平成30年の空き家数は846万戸と平成25年と比べ26万戸増加し、空き家率は13.6%で過去最高となりました。メディアなどで空き家問題について取り沙汰されていますが、 空き家率の上昇率は平成25年と比べると「率」として見ると意外と少なく、わずか0.1%の上昇となりました。

 

最新の調査結果が出るまでは、セミナーなどで5年前の平成25年の調査結果を使っていたのですが、その際に、「新しい調査結果が出ると空き家率がもっと増える」と説明していたのですが、私自身も思ったよりも少ないと感じました。

 

「率」として見ると少ないけれども、「数」としてみるとどうでしょうか?
空き家数の内訳は、「賃貸用の住宅」が431万戸で2万戸の増加、「売却用の住宅」が29万戸で1万戸の減少、別荘などの「2次的住宅」が38万戸で3万戸の減少、「その他住宅」が347万戸で29万戸の増加となっています。

 

空き家の内訳のうち、「その他の住宅」とは、「賃貸用の住宅」、「売却用の住宅」、「二次的住宅」以外の住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅のほか、空き家の区分の判断が困難な住宅などを含んでいます。

 

この空き家区分の判断が困難な住宅が、自分たちで住むのか、賃貸に出すのか、売却にするのか、迷っている状態、ということができるので、5年間で空き家問題の対象となる戸数が29万戸増えたと考えることもできます 。

 

住宅種類別の空き家戸数・空き家率の推移(平成30年住宅・土地統計調査)

※総務省「住宅・土地統計調査」より、FPオフィス Life & Financial Clinic作成

空き家対策のための、親子の会話のきっかけは?

空き家の発生原因について考えてみましょう。一つ目は相続が発生し相続人はすでに自宅を所有している集まり空き家が発生してもその住宅に住まないということが原因として挙げられます。二つ目は子供の世帯と同居近居を開始するということで利便性の高い地域に転居し元々住んでいた家をそのまま放置してしまうということが挙げられます。三つ目は介護施設や長期入院なので空き家になってしまったというものです。

一概に言うことはできませんが、空き家の発生原因となる、これらの事象は、将来発生し得ることが、ある程度予測できたであろうと考えられます。 空き家にならないためには、その家に将来もずっと住み続けるのかどうか、あるいは親が介護が必要になった時にその家をどのように扱うのかなど、前もって家族と話し合っておくことが重要と考えます。

 

セミナーなどで、親と話し合う場合にどのように切り出したら良いのか分からないという質問を多く頂きます。いきなり、「この家どうするの?」と聞くと、「急にどうしたんだ?」 と、かえって警戒されてしまいます。 そこで、「親の介護や将来の生活について心配している」 という気持ちを伝え、ご両親のライフプランを一緒に考えるという作業をすることをお勧めします。

 

ライフプランを一緒に考えていく過程の中で、介護の話や将来どこで住むのか、その中で、家をどのように扱っていくのかということに触れる必要が出てきます。空き家にならないことを考えた場合、このように家について常日頃から話題に出して親と話し合う関係を作ることが、 最善策と言えるでしょう。

 

実家に帰った時に、「空き家」や「相続」というようなキーワードを出さずに、ご両親の将来の生活をどのように支えていくのかという、ライフプラン視点で会話をしてはいかがでしょうか。

 

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野 泰嗣)

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