メニュー

コラム

新NISA制度のメリットとコア・サテライト戦略の実践方法

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2023年10月17日(火)
このエントリーをはてなブックマークに追加

concierge 44a

 

2024年1月から始まる新しい非課税投資制度「新NISA」は、現行のNISA制度と比べて、非課税期間の無期限化や非課税保有限度額の拡大などのメリットがあります。しかし、新NISAには現行制度との違いや注意点もあります。この記事では、新NISA制度のメリットと注意点を解説した上で、新NISAでおすすめの投資戦略として「コア・サテライト戦略」の実践方法を紹介します。

 

新NISA制度のメリットと注意点

新NISA制度とは、2024年1月から始まる新しい非課税投資制度のことです。現行のNISA制度は、つみたてNISAの場合、非課税期間が20年間で、非課税保有限度額が最大800万円(一般NISAは5年・600万円)でした。しかし、新NISA制度では、以下のような改正があります。

 

  • 非課税期間が無期限になります。つまり、新NISAで購入した商品は、売却しない限りずっと非課税で保有できます。これにより、長期的な資産形成が可能になります。
  • 非課税保有限度額が1,800万円(内、成長投資枠は最大1,200万円)に拡大されます。つまり、より多くの資産を非課税で運用できます。また、売却した場合はその分の非課税保有限度額が翌年以降再利用できます。
  • つみたてNISAが「つみたて投資枠」(年間40万円→120万円に拡大)、一般NISAが「成長投資枠」(年間120万円→240万円に拡大)と名称変更され、併用が可能になります。つまり、年間360万円まで非課税で投資ができます。

 

一方で、新NISA制度には以下のような注意点もあります。

 

  • 現行制度での運用分を新NISAに移管(ロールオーバー)することはできません。つまり、現行制度で購入した商品はそのまま現行制度で管理されます。
  • 新NISAは売却時に損益を計算する必要があります。また、損失が出た場合はその分を翌年以降に繰り越すことはできません(損益通算不可)。
  • 新NISAでは運用の対象商品や購入方法に制限があります。例えば、つみたて投資枠は金融庁への届出商品に限定された公募株式型投資信託で、毎月分配型や高レバレッジ型などは除外されます。成長投資枠は上場株式や投資信託などが対象ですが、整理・監理銘柄や信託期間が無期限または20年以上あるもの以外の投資信託などは除外されます。

 

concierge 44c

 

※金融庁HP「新しいNISA制度」より転載

 

コア・サテライト戦略とは

コア・サテライト戦略とは、ポートフォリオ(運用資産の配分)を守りのコア(中核)と攻めのサテライト(衛星)に分けて管理する運用方法です。コア部分はリスクを抑え長期的に安定したリターンを得られるアセットクラスで運用します。例えば、インデックス型の投資信託やETF、債券、保険などが挙げられます。サテライト部分はコアよりも高いリターンが期待できる可能性があるアセットクラスに投資します。例えば、個別株、アクティブタイプの投資信託やETF、FX、仮想通貨などが挙げられます。

 

コア・サテライト戦略のメリットは以下のとおりです。

 

  • コア・サテライト戦略を取り入れることで、ポートフォリオ全体のリスク・リターンのバランスを最適化できます。コア部分は安定したリターンを想定し、サテライト部分は高いリターンを狙うことで、ポートフォリオのパフォーマンスを向上させます。
  • 相場環境に応じてサテライト部分の売買を行うことで、機会損失を防ぐことができます。サテライト部分は相場の変動に敏感な商品が多いため、自分の判断や情報に基づいて柔軟に売買を行うことが重要です。

 

新NISAでコア・サテライト戦略を実践する方法

concierge 44b

 

新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になります。これは、コア・サテライト戦略におけるコア部分とサテライト部分にそれぞれ対応することができるということです。つまり、新NISA制度はコア・サテライト戦略に適した制度と言えます。では、具体的にどのように新NISAでコア・サテライト戦略を実践するか見ていきましょう。

コア部分の選び方

コア部分は長期的に安定したリターンを目指すアセットクラスで運用します。そのため、インデックス型の投資信託などの指数に連動する商品がおすすめです。インデックス型の投資信託Fは、日経平均やMSCI世界株価指数などの代表的な市場指数に連動するように運用されるため、長期的に安定したリターンが期待できます。また、運用会社の判断に左右されないため、信託報酬も低く抑えられます。

 

コア部分は「つみたて投資枠」で積立投資を行うことがおすすめです。積立投資とは、毎月一定額を自動的に投資することです。積立投資のメリットは以下のとおりです。

 

  • 平均取得単価を下げる効果があります。相場が下落した時にも同じ金額で買えるため、安く買って高く売ることができます。
  • 時間や手間をかけずに投資できます。毎月自動的に引き落とされるため、忘れる心配や面倒な手続きがありません。
  • 習慣化しやすく、長期的な資産形成が可能です

 

つみたて投資枠における積立投資の注意点は以下の通りです。

 

  • つみたて投資枠は金融庁への届出商品に限定された公募株式型投資信託で、毎月分配型や高レバレッジ型などは除外されます。つまり、選べる商品の種類が限られます。
  • 積立投資は長期的な資産形成を目指す方法であるため、短期的な相場の変動に左右されやすい人には向いていません。また、積立金額や期間を変更することはできますが、解約する場合は手数料がかかる場合があります。

サテライト部分の選び方

サテライト部分は高いリターンが期待できる可能性があるアセットクラスに投資します。そのため、個別株やアクティブタイプの投資信託やETFなどの運用会社の判断による商品がおすすめです。個別株やアクティブタイプの投資信託やETFは、市場の動向や個別銘柄の分析などに基づいて積極的に売買を行うことで、ベンチマーク(基準)となる指数や平均よりも高いリターンを目指します。

 

サテライト部分は成長投資枠で一括(スポット)方式やつみたて投資枠では購入できない投資信託を積立方式で投資することがおすすめです。一括(スポット)方式とは、一度に大きな金額を投資することです。一括(スポット)方式のメリットは以下のとおりです。

 

  • 高いリターンを狙うことができます。相場が上昇した時には、大きな利益を得ることができます。
  • 自分のタイミングで投資できます。相場のチャンスを見極めて、自分の判断で売買を行うことができます。

 

一括(スポット)方式の注意点は以下のとおりです。

 

  • 高いリスクも伴います。相場が下落した時には、大きな損失を被ることもあります。
  • 手数料がかかります。売買を行うたびに手数料が発生するため、利益を減らす要因になります。

 

まとめ

新NISA制度は長期的な資産形成に適した制度であり、コア・サテライト戦略は分散効果や柔軟性が高い運用方法であることを再確認しました。新NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になります。これは、コア・サテライト戦略におけるコア部分とサテライト部分にそれぞれ対応することができるということです。自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、コア部分とサテライト部分の配分比率や投資対象商品を決めることが重要です。新NISA制度とコア・サテライト戦略を上手に活用して、賢く資産を増やしましょう。


LFCの金融資産マネジメント相談

 

(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

夫婦FPが親身になってサポートいたします。お気軽にお申込・お問合せください。

Copyright©FPオフィス Life & Financial ClinicAll Rights Reserved. login